解説|デザインリサーチ

インタビュー

対象を知り、本質的なニーズを理解する調査だよ

対象とする人々やことがらを理解するために、インタビュー(ヒアリング)を行います。深く話を聴くインタビューもあれば、通りすがりの人に短い時間で話を聴くこともあります。目的に合わせて実践しましょう。

デプスインタビュー

最もよく実施されるインタビューです。普段の生活やテーマに関することがらについて話を聴きます。話を聴く対象は、プロジェクトの対象となる人や周囲の人々です。デスクリサーチだけでは見えなかった、問題の背景や心のうちが見えてくるでしょう。話を聴くうちに、問題だと思っていたことが実は問題ではなく、原因はほかにあったと気づくこともあります。さらに話を聴くべき対象が見えてくるかもしれません。では、インタビューのステップを見ていきましょう。

step1:目的を考える

デスクリサーチでも説明しましたが、インタビューでも目的をあらかじめ考えておく必要があります。例えば、訪日外国人へのインタビューを考えてみましょう。日本での暮らし方について聴きたいのか、観光中の困りごとについて聴きたいのか? 目的によってインタビューする対象も質問も異なります。何を目的にインタビューするのか、しっかり考えましょう。

どんな目的でインタビューするのか考えよう。ノートに書くのがオススメ!

step2:対象を決めて依頼する

目的が決まったら、次は対象者を決めてインタビューを依頼します。日本での暮らし方について聴きたいのであれば、日本で暮らしている外国人を探す必要があります。外国人と言っても幅が広いですね。出身国はどこか、どんな目的で日本に来たのか、どれくらい日本で暮らしているのか、どんな家族構成なのか、自分のテーマに合わせて対象者を探す必要があります。

インタビューをお願いする際には、インタビューの目的、どの範囲で共有するのかなど、あらかじめ伝えて承諾していただきましょう。謝礼の有無についても、最初に伝えてください。

どんな人がインタビュー対象として考えられそう?当事者だけでなく、周囲の人たちも含めて考えてみてね

step3:質問項目を考える

目的に合わせて、質問項目を考えましょう。あれもこれも聴きたいと思いますが、ここはグッと我慢が必要です。質問が多すぎると、ひとつの事柄について深く聴くことができず、浅い話で終わってしまいます。それならアンケートを取っても同じですよね。ですので、絶対に聴くべき質問は5つくらいに抑えておき、あとはキャッチボールしながら話を引き出していきましょう。たくさん質問を用意すると全部聴かなくちゃとプレッシャーになって、話に集中できないことも。

外国人に日本での暮らし方について質問するとしたら、どんな質問がよいでしょうか?「日本での暮らしで驚いたことはありますか?」や「母国のほうがいいなと思うところはありますか?」など、新しい発見がありそうな質問をしてみたいですね。あなたならどう考えますか?

たくさん質問をリストアップしてみて、優先順位をつけてみよう

step4:タイムラインを考える

相手にもよりますが、インタビューの時間は30分〜2時間程度が多いのではないでしょうか。限られた時間で聴きたいことを聴けるように、時間配分を考えておきましょう。

現場で話を聴くことが重要だと思ったら、フィールドリサーチを兼ねて現場に行きましょう。遠方の場合はオンラインで話を聴くということもありますが、オンラインと対面では情報量が異なります。可能であれば、対面で話を聴くことをオススメします。

想定したとおりにいくとは限らないけれど、シミュレーションは大事!

step5:インタビュー実践

さて、準備ができたらインタビューの実践です。はじめてのインタビューは誰でも緊張します。できるだけ、ひとりではなく、誰かと一緒に行きましょう。ひとりがメインインタビュアーになり、もうひとりは話を深く聴くためにサポートしたりメモを取ったりと役割分担するとスムーズに進みます。

インタビューに同行してもらうことで、仲間になってくれるかもしれないよ

対面でインタビューをする際には、写真や動画を撮らせていただくといいでしょう。音声の録音も忘れずに。後で聴きなおしたり、ほかのメンバーに共有する可能性があります。録音や撮影については、必ずお相手に許可をとりましょう。

インタビューの極意は、次ページで紹介しますね。

次に、デプスインタビュー以外の方法を紹介します。デプスインタビュー以外も、目的を決め、誰に聴くのかを決め、質問項目を考えるところまでは同じですよ。

グループインタビュー

「デプスインタビュー」はひとりに対して深く話を聴きます。ひとりだからこそ、ほかの人には聴かれたくない話や本音を話してくれるかもしれません。一方でグループインタビューでは、複数の人に一度に話を聴くことができます。良くも悪くもほかの参加者に影響されやすいので、話が広がることもあれば、話に偏りが出ることも。

街角インタビュー

対象としている人々がいる場所でアポを取らずに、街頭でインタビューする方法です。基本的には、インタビューする場所で許可を取ってから話を聴く必要があります。話を聴くのが難しければ、観察するだけでも気づきはたくさんあります。フィールドワークのついでに、話が聴けそうな人がいたら話しかけてみる、という程度でも挑戦してみてください。

専門家インタビュー

当事者ではなく、専門家に話を聴くことでテーマに関してより深く知ることができます。例えば、訪日外国人の観光をテーマにするのであれば、外国人と接している交通機関や宿泊施設の方、観光を専門としている研究者、観光庁の職員などが考えられますね。デスクリサーチ、フィールドリサーチ、デプスインタビュー、街角インタビューなどをある程度した上で話を聴くと、より突っ込んだ話が聴けますよ。

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