はじめに【必読!】

ガイドブックの目的

閉塞感のある社会のなかで、私たちの多くはモヤモヤを抱えて生きています。自分ひとりが動いても、社会を変えることなんてできない、そう感じている人も多いでしょう。でも、既存のルールや仕組み、価値観を変えられるとしたらどうでしょうか。

このガイドブックは、閉塞感のある社会に風穴をあけたい可能性を探って小さくても社会に変化を与えたい、そんなふうに思った人がソーシャルデザインプロジェクトを進めやすくするためにつくられました。

ソーシャルデザインとは

わたしたちは、ソーシャルデザインを「可能性を模索し、小さくとも社会変革を促すためのデザイン活動」と定義しています。例えば、「地域で増えている空き家をなんとかしたい」とか「女性特有の悩みを抱えている人たちのために新しいサービスを考えたい」とか「遠方にいるひとり暮らしのおばあちゃんが不安なく暮らせるようにしたい」とか、自分の中でもやもやっと考えていたことに対してポジティブな変化を起こす、という取り組みです。

ソーシャルデザインプロジェクトでは、デザイン思考を活用しながら進めていきます。「デザイン思考ってなんだろう、デザインと何が違うのかな」という人にも、「デザイン思考はどうでもいいけど、今までとは違うやり方でプロジェクトに取り組みたい」という人にも、「プロジェクト自体がはじめてだから、何から手をつけていいかわからない」という人にも利用してもらえるようなガイドブックを目指しています。

探求学習やマイプロなど、個人やグループでプロジェクトを進めるときに、なかなか新しいアイデアが生まれない、プロジェクトが先に進まない・・・など行き詰まったときのヒントとして活用することもできますよ。

ガイドブックの使いかた

ガイドブックは、前提知識をインプットする「心の準備編」「知る編」、擬似体験できる「体感編」、より詳しい取り組み方を理解する「解説編」に分かれています。

心の準備編:デザインする力を育てよう
あなたの「デザインする力」を育むためのガイドブック「デザインする力を育てよう編」です。デザインする力とはどんな力でしょうか。プロジェクトを始める前に、読んでおきましょう。

知る編:地図を手に入れよう
ソーシャルデザインプロジェクトの全体像を理解するためのガイドブックです。「プロジェクトの準備」と「プロジェクトの実践」にわけて、12のステップを紹介しています。

体感編:プロジェクトを擬似体感しよう
さあ、いよいよデザインプロジェクトを実践します。主人公のハナは、プロジェクトをやり遂げることができるのか!?ハナのものがたりとともに、プロジェクト実践のプロセスを解説します。

解説|デザインリサーチ
デザインプロジェクトで行う、リサーチに関するガイドブック。デスクリサーチ、フィールドリサーチ、インタビュー、質問紙調査(アンケート調査)、ワークショップについて解説しています。

解説|問いづくり
デザインにおいてとても大切な、インサイトの発見(洞察)と問いづくりについて解説しています。インサイトとはなにか、どうすればインサイトを得られるのか、悩んでいる人は必読です。

解説|アイデア発想
デザインプロジェクトにおいて新しいアイデアを生み出すためのコツを紹介。アイデアの発散と収束の流れや試作品のつくりかたなど、具体例を用いて説明しています。ワークシートの見本もありますよ。

解説|フィードバック
デザインプロジェクトのプロセスでは、アイデアや試作品に対してフィードバックをする機会があります。フィードバックの視点や留意するポイントなどを説明しています。

ファシリテーターガイド
ソーシャルデザインプロジェクトの設計や進め方など、運営する側が知っておくべきことをまとめました。プロジェクトを始めたいけれど、どこから手をつければよいかわからないというかた、必見!2024年5月以降に公開予定。

目的別の使いかたをご紹介します。

ソーシャルデザインプロジェクトの初心者のかた

はじめてプロジェクトに取り組むかたは、まずはマインドセットから始めましょう。「心の準備編:デザインする力を育てよう」と「知る編:地図を手に入れよう」をざっと読み、「体感編:プロジェクトを擬似体感しよう」で全体像をつかみます。必要に応じて、解説を参照してください。

プロジェクトに取り組んだことのあるかた

なんらかの社会課題や地域課題をテーマにプロジェクトに取り組んだことのある人は、おさらいする意味で「心の準備編:デザインする力を育てよう」と「知る編:地図を手に入れよう」を読みましょう。そのあとで、「解説|デザインリサーチ」「解説|問いづくり」「解説|アイデア発想」「解説|フィードバック」に目を通してみてください。新しい視点が手に入るはずです。

さらに、プロジェクトに挑戦する人をサポートしたい場合は、「ファシリテーターガイド」を活用してください。メンバーのデザインする力を引き出すヒントやプロジェクトを進めるヒントが書かれています。

問いづくりがうまくいかないかた

デザインプロジェクトで最も難しいのは「問いづくり」という人がほとんどです。問いづくりで大切になるのは、インプットです。「解説|デザインリサーチ」と「解説|問いづくり」を読むことをおすすめします。

いいアイデアが思いつかないかた

いいアイデアが浮かばないということは、アイデアを出す前の問いづくりがうまくいっていない可能性があります。「解説|問いづくり」を読んでから「解説|アイデア発想」で実際にアイデア出しをしてみましょう。アイデアにコメントするのが難しいなと思っている人は、「解説|フィードバック」でヒントを手に入れてください。

プロジェクトを通して、デザインする力を伸ばしたいかた

まずは「心の準備編:デザインする力を育てよう」を読み、どんな力が必要なのかを理解しましょう。そのあとで「知る編:地図を手に入れよう」を読み、プロジェクトに挑戦してみましょう。デザインプロジェクトに取り組むことで、必ずあなたのデザインする力は磨かれます。

目的によって使いかたはいろいろです。自分にあった使いかたで、どんどん活用してください。

ガイドブックは道案内人

大切なことは、このガイドブックはルールではないということです。プロジェクトを進めるための道案内人ではあるけれど、その通りにする必要はありません。ガイドブックをヒントにしながら自分たちなりの方法を試してみてください。それこそが創造的な活動ですよね。最終的なアウトプットだけでなく、そのプロセスも自分たちで創り出すことを大切にしてください。

こんな工夫をしてみたよ、こんなアクティビティを取り入れてみたよ、そんな報告を楽しみに待っています。みんなの意見を取り入れて、ガイドブックも日々進化していきますよ。

こんな人に向けて書きました

個人、あるいはグループでプロジェクトに取り組みたい人なら、誰もが読者です。いずれは、プロジェクトをサポートする人向けのガイドブックも用意する予定です。お楽しみに!

ご利用にあたっての注意事項

当サイトは「永遠のベータ版」です。「みんなのソーシャルデザインガイドブック」の名前の通り、みなさんと共に改善を進めていきます。そのため、予告なく変更されることがありますのでご了承くださいませ。そのほかの注意事項については「ご利用にあたっての注意事項」でご確認をお願いします。

わたしたちについて

ハナラボは、若い女性たちが自らのクリエイティビティやリーダーシップに気づき、その力を発揮できる機会を提供するNPO法人です。自分や周囲の課題や価値を発見し、新しい可能性を生み出すお手伝いをしています。このガイドブックは、これまでのハナラボの活動から生まれました。プロジェクトに参加してくれた800人を超える女子学生たちが、たくさんのことをわたしたちに教えてくれました。

なお、このガイドブックの制作にあたって、富士通株式会社からご支援いただきました。団体についての詳細は、ハナラボ公式サイトをご覧ください。

TOP