デザイン思考とはなにか?【part1】

現在ビジネスを中心に普及している「デザイン思考」は、デザインの専門家でない人がデザインに関わるために生まれたものです。スタンフォード大学でd.school[1]で提唱された「デザイン思考」から急速に広がっていきました。

一方で、デザイナーの思考法である「デザイン思考」は、1960年代から研究されています(”DesignThinking”という表現を用いないとすれば、もっと以前から言及されています)。d.shcoolのデザイン思考はデザインコンサルファームIDEOのデビッド M. ケリーらによって、過去の研究や実践の中から体系化されたものであり、唯一のデザイン思考ではないのです。

d.schoolのデザイン思考によって、デザインの専門家でない人たちがクリエイティビティを発揮する機会を得たことはとてもすばらしいことです。しかしながら、d.schoolが提唱したプロセスやツールがあたかもルールであるように広がったことは、d.schoolとしても想定していなかったようです。のちにd.shcoolのディレクターであるCarissa Carterさんは、「デザイン・プロセスの話はもうやめよう」と、デザインプロセスを料理に例えて「六角形のデザインプロセス」は「ほんの最初のレシピ」と述べています[2]。

出典:https://medium.com/stanford-d-school/lets-stop-talking-about-the-design-process-7446e52c13e8

デザイナーの多くはd.schoolのデザインプロセスの存在を知りませんし、プロセスを単純化されることに対して抵抗感を持つ人も少なくありません。実際にはリニアなプロセスではないからです。型にはめてしまうこと自体が、デザイン的ではないとも言えます。状況に応じてプロセスやツールを創造的にデザインすることが、デザイン的思考なのです。

とはいえ、デザイン的思考が苦手な人がツールに頼りたくなる気持ちもわかりますし、最初は提示されたプロセスに沿って試して体験することは悪いことではありません。ただし、目的に応じて自由にデザインできるものと認識しておくといいでしょう。

デザイン思考とはなにか?【part2】」では、デザイン思考のプロセスとして言及されることの多い、英国デザインカウンシルによる「ダブルダイヤモンド」について紹介します。

  1. https://dschool.stanford.edu/
  2. https://medium.com/stanford-d-school/lets-stop-talking-about-the-design-process-7446e52c13e8
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