問いからアイデアを広げるよ
ユニークな問いがあれば、自ずとユニークなアイデアが生まれるはず。ですので、ありきたりのアイデアしか出てこなかったら、問いがありふれている可能性があります。残念ですが、インサイトの発見までさかのぼって、新たな問いを考えましょう。下記に、アイデアの広げかたの一例を示します。自分たちなりに工夫してみてください。
アイデアを発散してたくさんの種をつくる
アイデアを発散するときに大切なことは量を出すこと。アイデアの量と質が比例することは研究で明らかにされています。チームでアイデアを出す場合は、アイデアを広げるときは否定や判断をしないことが大切です。常識で「それはあり得ない」と判断してしまったら、「解説|問いづくり編」で説明した春日台センターセンターは生まれなかったかもしれません。
ひとりでアイデアを出す場合でも、手と頭を動かしながら、アイデアをたくさん出しましょう。もちろん、最初に思いついたアイデアがそのまま最後まで残る可能性もあります。それでも、たくさんアイデアを出すことによって、よりよいアイデアに発展するはずです。
種をたくさん出した後は、誰にどんな価値をどうやって届けるのかを深く考えていきます。コンセプトを考えるフェースになっても、ピンとくるアイデアがない・・・という場合は、再度アイデアを発散して種をつくります。
アイデアを発散するときのヒント
わたしたちがよく使うフレームワークは、Crazy8(クレイジー8)と呼ばれるもので、ブレインストーミングの1種です。A4用紙を8つに折り、8つのスペースに1分でアイデアを描くというもの。短い時間で強制的に描くので、思ってもみなかったアイデアが出てくることも。やり方は「クレイジー8」で検索して調べてみてください。
とはいえ、真っ白な状態からアイデアを出すのは難しいですよね。こんなとき、わたしたちはヒントカードを用意します。
下記は、無料で利用できるアイコン集でつくったものです。場合によっては名刺サイズのカードを用意して、参加者にイラストを描いてもらうこともあります。アイデアを描くウォーミングアップとしてもオススメです。地域課題に取り組むときは、地域資源をヒントにアイデアを考えるのもいいでしょう。
アイデアの5W1Hを考えてみる
ブレストしながら出したアイデアを参考に、アイデアシートにアイデアを描き出します。イメージを共有できるように、イラストを描くのがポイント。下手でもイメージが伝わればいいんです。ひとり10枚程度を目指して、アイデアシートを描きます(5枚目を目標にすると2〜3枚しか描かない人が多いので、目標は高く設定することがオススメです)。
アイデアシートも時間をかけずに、思いついたものをどんどん描いていきます。まだ発散のフェーズです。
コンセプトシートをつくる
アイデアシートからコンセプトシートをつくります。ユーザー像を具体的に描写しつつ、どんな機能があるのか、どんなシーンで使うのかなどを描きます。下記の例では、既存の商品をイメージ画像として使っていますが、もちろん手描きでOK。チームメンバーにイメージが伝わることが重要です。コンセプトシートの項目も、テーマによってアレンジするといいでしょう。
ワークシートを用意しなくてもよいですが、ガイドがあると考えやすいので、項目だけでも決めておくといいでしょう。
利用シーンを描く
UX(User experience:ユーザー体験)を描きましょう。そのサービスやプロダクトを必要とする背景(課題)、利用するきっかけ、利用しているとき、利用したあとを4コマ漫画風に描きます(ストーリーボード)。ストーリーを描いてみると、サービスの矛盾点が見つかることもあります。
ストーリーボードで伝えるのは下記の内容です。コンセプトシートに描かれていたことをよりリアルに表現します。
- いつ?(何年後?)どこで?(When, Where)
- 一言でいうと、どんなもの?(What)
- 誰のどんな課題に対して(Who, Why)
- どんなふうに使うもの?(How)
- アピールポイントは?(Something Special)
- そのサービスやプロダクトによって、社会はどう変化した?(Result, Social Change)
下記の例では、左のアイデアシートから、右のストーリーボードを描いています。
①歯ぎしりがひどくて悩んでいる女性が、②マウスピースするのが嫌だなあと思いながら歯医者に行きます。③歯医者ですすめられて「愛される、リラックスまくら」を知り、試してみます。④この枕には、バイタルデータを取得する機能があり、データを蓄積して治療に活用します。⑤さらに首を温める機能がありリラックスして眠ることができました。⑥結果、眠りの質が改善して歯ぎしりがおさまり、めでたしめでたし!
CMのストーリーボードと考えてみるとわかりやすいですよね。どんなシーンがあれば、よりわかりやすくサービスやプロダクトを魅力的に伝えられるでしょうか。未来新聞(ニュース)やショートショート(短編小説)なども、同じような効果があります。実際にそのサービスやプロダクトが発売されたと想定して、考えてみましょう。
アイデアを選ぶ
コンセプトシートが出揃ったら、アイデアを選びます。アイデアを選ぶときには、選択基準が大切です。問いに沿ったアイデアなのかはもちろん、これまでにないユニークなアイデアなのか、自分たちが形にしたいと思えるほどワクワクするものか・・・基準は自分たちで考えてください。
自分たちで選ぶことによって、アイデアに愛着と責任が生まれます。アイデアに対するオーナーシップと言えますね。生まれたアイデアを愛しながら責任を持って育てていきたい、そんな気持ちです。