デザイン思考とはなにか?【part2】

さて、「デザイン思考とはなにか?【part1】」では、スタンフォード大学d.schoolの「デザイン思考」と、デザイン研究における「デザイン思考」の違いを説明しました。今回は、英国デザインカウンシルが提唱している、デザインプロセスのフレームワーク「ダブルダイヤモンド」をご紹介します。

ダブルダイヤモンドのファーストバージョンは2004年に発表されました。ダブルダイヤモンドの歴史によれば、デザイナーやデザイン研究者の言説をレビューし評価しながら、共通のプロセスを見出し、ふたつのダイヤモンド(発散と収束)でデザインプロセスを表現しています。

出典:https://www.designcouncil.org.uk/our-resources/framework-for-innovation/

発見・定義・開発・提供のプロセスを反復しながら、発散と収束を繰り返しています。直線的ではなく反復を繰り返す、という点がポイントですね。さらに、イノベーションのためのフレームワークとして拡大されたのがこちらです。「複雑な社会的、経済的、環境的問題に取り組むデザイナーとノンデザイナーを支援するもの」として開発されました。

出典:https://www.designcouncil.org.uk/our-resources/framework-for-innovation/

デザインプロセスの外側に、プロジェクトに関わる人たちが持つべき重要な原則とデザインメソッド、組織文化の変化についても書かれています。

2021年には、システミック・デザインのためのダブルダイヤモンドが発表されました。人間と地球を中心におき、「異なる分野やセクターの人々が関わる、複雑な課題に取り組むデザイナーを支援するために開発されたもの」です。

中央にあるデザインプロセスは、探索・リフレーム・創造・触媒と表現されています。2004年版のダブルダイヤモンドとは異なることばで表現されています。英国デザインカウンシルのチーフデザインオフィサーのアレックスによると、よりデザイナーにフィットすることばで表現しているとのこと(複雑な時代を拓くデザイン実践へのアプローチ 〜システミックデザイン シンポジウム)。

システミックデザインとは、人間だけでなく地球環境も含めた関係性を全体性を持って捉える、いわば「関係性のデザイン」なのです。システミックデザインに関する日本語での解説はこちらのnoteをご覧ください。

と、ちょっと難しい話になってきましたが、デザイナーのありかたそのものが変化している今、デザインプロセスも変化しているのです。そして、デザイナーだけでなく、課題に関わる人たちがともにデザインしていくことがより重要になっていることがわかりますよね。

誰もが持つデザインする力を磨くために、このガイドブックが役に立つことを願っています!

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