「ビジョンを描き、新しく、有用なアイデアを生み出す力」だよ
発想を広げるのが得意な人もいれば、そうでない人もいます。でも、それはインプットが足りていないか、あるいは遠慮して発言できていないだけかもしれません。自分が出したアイデアを否定された経験が邪魔している可能性もあります。まずは「自分には創造力がない」という思い込みを疑うところから始めましょう。「新しいアイデアを考えるのが苦手」と思い込んでいた人が、実はユニークな視点を持っていたということがよくあります。
安心して発言できる関係性をつくろう
人前で話すことが苦手なメンバーが多くて、アイデアが膨らまないという悩みがあったら、次の二つを試してみてください。一つは、アイデアを否定せず安心して発言できる環境を用意することです。会社では上下関係を意識せざるを得ませんが、フラットでゆるい関係性があることが活発な発言につながります。二つ目は何度も人前で発表する機会をつくり慣れてもらうことです。「苦手意識」が邪魔して意見を出し合えないのは、とてももったいないですよね。
問題解決か、価値創造か
課題を解決するという行為に喜びを感じる人もいますが、難しいことのように感じて思考が止まってしまう人もいます。そんなときは、課題解決という視点ではなく、新しい価値をつくり出すことにシフトすると、アイデアが膨らむことがあります。課題に目を向けるのではなく、可能性を見出すという気持ちで考えてみましょう。
「目的に合致した、新しい、相手に寄り添った」アイデアを選ぼう
プロジェクトの目的に立ち返り、基準を決めてアイデアを選択することが大切です。「アイデア広げること」と「新しく有用なアイデアを生み出すこと」は異なります。広げたアイデアを新しく有用なアイデアにするためには、一度アイデアを手放して再度アイデアを出すこと、選んだアイデアを深めていくことも必要です。「色んな視点をつなぐ力」とも関連していますね。また、頭だけでなく心でワクワクするものを選ぶこともとても大切です。頭で選んでも、モチベーションが続かず、その先のプロセスでつまずくことが多いのです。
誰かの協力を得られれば実現できるアイデアに広げよう
自分たちで実行する企画であっても、誰かの協力を得られれば実現できるアイデアに広げることが重要です。プロジェクトの初期段階ではメンバーも少なく、予算もないことがほとんどです。自分たちで実現するなんて無理だ、と考えるのは当然ですよね。でも、自分たちだけで実現すると考えたら、インパクトのあるアイデアにはなりません。そのためにも、協力してくれる人を探す必要があります。フィールドワークやヒアリングで出会った人たちは、大切な候補者です。話を聞いて終わり、ではなく、関係をつなげていきましょう。
手と口を動かそう
アイデアの選択肢を増やすため、どんどんアイデアを発散させましょう。アイデアは、量をだすと質が高まると言われているので、ひとつのアイデアに固執せず、ひとつでも多くアイデアを出すことを心がけてください。また、関連性のなさそうなアイデアでも、ヒントになる可能性があります。みんなでアイデアを出し合うときは、意見を切り捨てることなく、なぜそのアイデアが生まれたのか、その背景を丁寧に聴くことが大切です。
アイデアを出すときは、口だけでなく手を動かすことも忘れずに。口だけだとアイデアが流れてしまう可能性もありますし、イメージがずれている可能性もあります。絵を描いたり、ものをつくってみたりして検討することで新たなアイデアにつながります。思ったことを口にするのが苦手な人でも、誰かのふとした一言でアイデアが閃くことがあります。きっかけさえつかめれば、アイデアがどんどん広がっていくものです。
プレゼン資料をパソコンではなく手描きにするのもひとつの手です。枠を外して自由に表現できると発想が広がり、表現能力が高まるのです。
ビジネスにおいてもアカデミックな世界でもロジカルであることが求められます。思いつくままに話し、アイデアを広げていくことが肯定される機会は少ないもの。思いつきを否定せず、肯定する空気が必要です。
自分たちなりのビジョンを描こう
デザインというと、形に目が行きがちです。でも、形を考える前に必要となるのが、ビジョンです。自分たちが何を目指すのか、ということですね。生み出すアイデアは、誰のどんな課題を解決するのか、どんな新しい価値を提供するのか、どんな特徴があるのか、それによって何が起きるのかを考えることが必要です。現実と理想の状態を描き、その間を埋めるストーリーを考えます。ビジョンとストーリーがあれば、アイデアに行き詰まっても新たなアイデアを思いつきますし、単純に面白いからといった理由でアイデアを選ぶことなく、「なぜ、そのアイデアなのか」を意識するようになります。
考えぬけば柔軟に対応できる
考えぬいた企画であれば、自信を持って実行できます。一方、十分に練られていない場合は実行するときにつまずきます。十分に練ったつもりでも、実行する中でさまざまな問題が起きるもの。不確定要素はあったとしても、計画段階で考えられる課題やプロセスを明確にしておくことで、問題が起きたときに自分で考えて対処できます。