心の準備編|デザインする力を育てよう

心の準備編|デザインする力を育てよう

デザインする力とは

厄介な問題に取り組もう

デザインは課題を解決することだと言われます。課題を解決することは、誰にとっても必要なことですから、デザイナー以外の人々にとってもデザインする力が有用であるという考えは古くからあります。その背景にあるのは、自然科学や技術的合理性だけでは解決できない課題、「厄介な問題 Wicked problem」です。

例えば、パソコンが壊れたら故障している箇所を見つけて修理すれば問題は解決しますよね。これはシンプルな問題です。友だちと喧嘩して仲直りできないとしたら、これはちょっと複雑ですね。でも、なぜ喧嘩になったのか原因を探って話し合えば解決することがほとんどでしょう。では、未来の学校はどうあるべきか、という問題はどうでしょうか。その問いに対する正解は誰も持っていません。漠然と考えていても、よいアイデアは見つかりませんよね。

ちょっと視点を変えてみましょう。小学校で生徒たちが授業を聞いてくれない、と悩んでいる先生がいたとします。先生は、教材が悪いんじゃないか、生徒たちに甘すぎたんじゃないか、その原因を探りましたが、どれもピンときません。そこで先生はふと思いました。「先生が一方的に教える授業、そのものに問題があるのかもしれない」。問題を捉え直したら、未来の学校がどうあるべきかの切り口が見えてきましたね。

問題を捉え直して新しい視点でものごとを考えることは、課題を解決する上でとても重要です。この切り口は数字を分析しても見えてきません。さらに言えば、新しい切り口を思いついても、アイデアを考えて形にしなければ何も変わりませんよね。そこで必要になるのが、デザインする力なんです。

9つのデザインする力

デザインの研究者たちがデザインする力をさまざまな形で表現しています。ここでは、過去の研究を踏まえ、私たちの実践を通して9つのデザインする力を定義しました。まずは、それがどんな力なのか、どんなときに必要となるのかを紐解きます。

  1. わからないを受け入れる力
  2. 五感で捉える力
  3. 共感する力
  4. 俯瞰する力
  5. いろんな視点をつなぐ力
  6. 創造する力
  7. 実践する力
  8. ポジティブに捉える力
  9. コラボレーションする力

9つの力は、相互に関連しています。人によって得意不得意はありますが、それぞれの力を理解しておく必要があります。なぜなら、これまでの教育では軽視されがちな要素があるからです。

デザインする力を磨く上では、手探りでユニークな答えを探すこと、試行錯誤しながら形にすることが求められます。効率的に短距離を探すことが善と考える人にとっては、無駄なことだと否定的に捉えられることもあります。でも、デザインする力を軽視した結果が生産性の低い、イノベーションを生み出せない人々を育ててしまいました。

もちろん、効率性や合理性が必要な場面もあります。一方で、無駄に見えることが人を巻き込み、想像以上の成果につながる場面もあります。これまで大切にされてきた力に加えて、眠らせていた力を呼び覚ますのだと考えてみてください。9つの力を理解した上で、自分の強みを生かせばよいのです。では、デザインする力をひとつずつ見ていきましょう。

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