「利用可能なリソースを最大限に活用して、自分たちが思い描いていたものに近づくために行動する力」だよ
さて、いよいよ実践です。デザインするということは、アイデアを考えるだけでなく、形にすること、実践することも含んでいます。机上でアイデアを考える段階から、ぐっと難易度が上がります。企画を実現しようとすると、さまざまな壁が行く手を阻みます。挑戦すること自体に対して恐れを感じることもあるでしょうし、挑戦したものの心が折れそうになることもあるかもしれません。困難を乗り越えるためには、何が必要でしょうか。
実行できると信じよう
実行できると信じるからといって実現できるとは限りませんが、実行できると信じた方が実現に近づくのは事実です。「そんな精神論言われても・・・」と思うかもしれませんが、人はポジティブなフィードバックを受けると自己効力感が高まり、実現できる確率が高まると言われています[15]。だから、自分たちはもちろん、周囲ができると信じてサポートすることはとても大切なことです。負荷が高すぎる場合には調整も必要ですが、できるだけ「実現させたい」という気持ちを応援して行きたいものです。これは「ポジティブに捉える力」とも関連していますね。
また、実現した後の世界をイメージすることも効果があります。アイデアが実現されたときに対象者はどう変化するのか、それによって社会がどう変化していくのかをイメージすることも実現可能性を高めます。これは「創造する力」の「自分たちなりのビジョンを描く」と重なります。
困難を乗り越えて、何度も試作・試行しよう
実践する中で、さまざまな困難が訪れます。プロジェクトでは、先が見えない状況でも前に進まなくてはなりません。試行錯誤と決断を繰り返しながら、改善を続けます。実践する力を磨くための、肝となる経験です。「わからないを受け入れる力」の高い人は、先が見えなくても前に進むための道を探り、粘り強く活動できます。逆に不確実性や曖昧さが苦手な人にとってはストレスが大きいですが、チームで支え合うことで乗り越えやすくなります。実践するためにはチームで支え合う必要があります。チームでの活動に関しては、「コラボレーションする力」で説明します。
人に伝えよう
実践する中で、誰かに協力してもらうためにプロジェクトについて伝える機会はたくさんあります。何のために、何をどのような形で伝えるのか、最も伝えたいことは何か、それをどう表現すれば伝わるのかを考えなければなりません。最初はうまくいかなくても、何度か繰り返すうちに、伝える力は磨かれます。プロダクトを開発した場合は、買ってもらうためにプロダクトのコンセプトをわかりやすく伝えることが求められます。伝える力は、デザインする力において大切な要素です。
小さく始めよう
いきなり大きなプロジェクトを始めようとすると、ゴールが遠すぎて心が折れがちです。普段ランニングをしていない人が、いきなりフルマラソンに挑戦しても走り切れないのと同じです。大きな目的に向かいつつも、小さな目標をたて、少しずつ形にしていきましょう。小さなことなら少人数でもチャレンジできます。少しずつ形になってくると、それを見た人が仲間になってくれるかもしれません。そうすれば、いつか大きな目的を達成できることでしょう。