体感編|プロジェクトを擬似体感しよう

体感編|プロジェクトを擬似体感しよう

2. 古民家を探索する

ハナです!大家さんから聞いた古民家のことが気になってます。

古民家が気になり始めたハナちゃんですが、何から手をつけていいかわかりません。まずハナちゃんにやってもらいたいのは、フィールドリサーチと空き家問題に関するリサーチです。

アイちゃんを誘って、現地調査(フィールドリサーチ)へ

では、ハナちゃんのフィールドワークの様子をのぞいてみましょう。

ハナは建築学科の友人アイに声をかけて、一緒に行くことにしました。古民家があるエリアは、大学からは近いけど、駅からは遠いし近くに店もない、そんな場所です。

アイは空き家に着くと歓声をあげました。
「うわ〜、これ、昭和初期の建物じゃない?早く中が見たい!」
「へえ、最近の若い子はこういう建物が好きなのねえ。昔の建物だからすっごく寒いわよ」大家さんはアイの反応に驚いています。建具の木細工も凝っていて、ハナも目を輝かせながら隅々まで写真を撮っています。

ハナもアイもすっかり古民家に魅了されました。古民家についてもっと知りたくなり、大家さんにお願いしてオーナーさんから話を聞くことにしました。

百聞は一見に如かず、ですね。現場に行かなければわからない情報がたくさんあります。また、建築学科の友だちを誘うことで、図らずも仲間を増やすことにつながっています。

オーナーのすずさんに話を聞く

次はオーナーさんへのインタビューです。デスクリサーチはこれからですが、気軽に話を聞ける相手なら当事者に話を聞くといいでしょう。相手の顔が見えることで、グッと問題が身近になります。

オーナーのすずさんは東京で暮らしているため、オンラインで話を聞くことになりました。

「すずさん、はじめまして。ハナとアイです。先日、お家を見せてもらったんですが、本当に佇まいが素敵な古民家ですよね。昭和の文豪の家みたいです!」すずさんは二人の勢いに、思わず笑ってしまいました。

「気に入ってくれてありがと!あの家は、母の母、私の祖母の家なのよ。たぶん、建てられたのは昭和初期じゃないかな。私も小学生の頃、夏休みに遊びに行ったくらいで、そこで暮らしたことはないの。財産分与で家をもらったんだけど、私一人じゃどうにもならなくて」

すずさんは、大切にされてきた古民家だから壊さずに残したい、できることならお裁縫を教えていた祖母の思い出が残るようにしたい、地域のためになる使い方をしたいという話をしてくれました。

ハナは残されていた足踏みミシンが気になっていました。「おばあちゃんは、その足踏みミシンを使ってお裁縫を教えてたの。私の服もたくさんつくってくれたのよ。確か5台くらいあったんだけど、教室を閉じたときに処分しちゃったみたい」すずさんは少し寂しそうです。

30分くらいのつもりが、気づけば1時間が過ぎていました。ハナたちが謝ると「あの家に関心を持ってくれて嬉しかったの。だから私もついつい話しちゃった。聴きたいことがあったら、また連絡してね」すずさんはニコッと笑って通話を切りました。

インタビューを通して、古民家にまつわるストーリーを聞くことができましたね。また、当事者との関係性をつくることは、後々の活動を推進する上で欠かせないものとなります。自分が大切にしているものに関心を持ってもらえるのは誰でも嬉しいですよね。インタビューする側の気持ちは、相手に伝わります。真摯に臨みましょう。

細かいことですが、音声の録音は忘れずに。あとで見返したり、ほかのメンバーに共有したりする場面が出てきます。きちんと相手に断ってから録音してください。インタビューの流れインタビューの極意も復習しておきましょう。

セミナーで古民家再生の全体像を把握する

古民家を見に行き、オーナーのすずさんの話を聴き、すっかりやる気になったハナちゃんですが、古民家や空き家に関する知識はほぼゼロです。建築学科のハルも同じです。まだ、何も調べていませんよね。フィールドワークやインタビューと並行して、古民家再生や空き家活用に関するリサーチも必要です。

「よし、まずは空き家の活用法について調べてみようよ」
二人ははやる気持ちを抑え、空き家の現状について調べることにしました。スマホで調べていると、1週間後にNPO主催の空き家活用セミナーが開催されることがわかりました。

文献を調べるのも必要だけど、まずは全体像をつかみたいよね。それにNPOの人たちにも相談できそうだし、まずは行ってみようよ!」ハルは一石二鳥を狙っているようです。ハナはアイの行動力に見惚れつつ、セミナーと並行して文献調査もしておこうと思うのでした。

勢いのあるハルちゃんと慎重派のハナちゃんのコンビがいいですね。こういったセミナーでは、全体像がつかめ、一度に多くの情報が得られるのでオススメです。

空き家活用セミナーでは、空き家が増えることでどんな問題が起きているのか、空き家活用の成功例・失敗例など、知りたい情報ばかり。二人は熱心にメモを取りながら聴いていました。

セミナーが終わったあと「実は今、古民家を活用してなにかできないか考えてるんです」と主催者のサトウさんに話しかけました。「どうりで熱心に聴いてると思ったよ。身を乗り出して聴いてくれるから、話しがいがあったよ」と言いながら「古民家を活用する場合は耐震の問題もあるし、簡単ではないよ。でも、古民家を活用しようという心意気は嬉しいし、いつでも相談に乗るから連絡してね」と名刺を渡してくれました。肩書きには、建築家と書いてあります。

「私、古東大学の建築学科なんです」アイが言うと、サトウさんは驚いた顔をして「それなら、イシイ先生に相談するといいよ。古民家の耐震に詳しいから」とヒントを与えてくれました。

耐震かあ・・・お金がかかりそうだよね」ハナは不安になりました。「わからないことは悩んでも仕方がないよ。とにかくイシイ先生に聞いてみよう。話したことないけどね!」アイのことばに余計に不安になりながらも、ハナはセミナーで教えてもらった活用事例に希望を感じていました。もっと古民家について調べて、不安を一つずつ解消していこう。そう心に誓うハナでした。

探索はまだまだ続きます。

TOP