知る編|地図を手に入れよう

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6. 問いをつくる

リサーチして集めたことがらを洞察して、問いを立てるよ

プロジェクトを組み立て、仲間を見つけて、ようやくプロジェクトがスタートします。必要に応じてさらにリサーチして、集めたことがらから新しい視点を見つけて問いをつくります。集めたデータをどう解釈するのか、洞察力が試されます。

ありきたりな視点ではありきたりなアイデアしか生まれない!

さまざまなリサーチを経て集められたデータから、これまで見えていなかった新しい価値や課題を探ります。これをインサイトを発見する、洞察する、解釈する・・・と表現したりします。

インサイト”insignt”とは、Cambridge Dictionary 英英辞典によると「複雑な問題や状況を、明確かつ深く、時には突然理解すること(日本語訳)」。日本語にすると「洞察してひらめきを得た」という状態ですね。

「思いつき」ではなく、関係性や背景、当事者の経験や感情など、複雑に絡み合っている状況を洞察した上で、これまで見えていなかった新たな視点を発見するという「ひらめき」です。

なぜインサイトを発見する必要があるのでしょうか?
ありきたりな視点ではありきたりなアイデアしか出てきませんよね。

事例で考えよう(おてらおやつクラブ)

実際の事例で考えてみましょう。おてらおやつクラブという取り組みがあります。グッドデザイン賞大賞を受賞したので、ご存知のかたもいるかもしれませんね。

おてらおやつクラブは、お寺におそなえされたお米・飲みもの・お菓子などの食料品や日用品を仏さまからの「おすそわけ」として、貧困家庭に届ける活動です。現在は全国1800を超える寺院が活動に参加しています。

日本テレビ the Social 傑作選より

お寺ではおそなえものが多く、食べきれず無駄にすることもありました。ある日住職は、日本でも貧困のために食べるものが手に入らず、餓死をしてしまった親子がいたことをニュースで知りました。

食べものを捨てる人がいる一方で、餓死をしてしまう人がいる。それならば、今、お寺で扱いに困っていたおそなえものを必要な人に届けることはできないか

そんなひらめきから始まったのが、おやつおてらクラブです。ひらめきを深めていくと、お寺の「ある」と社会の「ない」が見えてきました

お寺の「ある」は、おそなえ、地域コミュニティ、ゆとりある場所。
社会の「ない」は、食べものがない、相談できる人がない、居場所がない。


https://youtu.be/I4btv-1VxUk?feature=shared

つまり、貧困家庭になかったものは、食べものだけではなかったのです。

このようにひらめきを得ること(=インサイトを見つけること)は簡単ではありません。さて、なにをすればいいのでしょう?インサイトの見つけかたについては「解説:問いづくり編」の「洞察してひらめきを得る」で確認してください。

問いをつくろう

新しい視点を得たら、次に問いをつくります。ひらめき(インサイト)から直接アイデアを考えることもできますが、問いのかたちにするとアイデアを出しやすくなります

例えば、おてらおやつクラブの問いは、私たちは、お寺の「ある」と社会の「ない」をつなげることはできないだろうか?です。

単純に「おそなえものを生活に困っている人たちにおすそわけするには?」という問いにすることもできます。でも、少し抽象度をあげて「お寺の『ある』と『ない』をつなげるには?」とすることで、食べものだけでなく社会とのつながりや居場所を提供するアイデアが生まれやすくなります。

このように、具体的な問いにすることで的を絞ってアイデアを出すことができます。一方で、抽象的な問いにすることで解釈の幅を持たせることができます。具体的な問い、抽象的な問いの両方を用意しておくと、アイデアを出しやすくなるでしょう。問いのつくりかたについては、「解説:問いづくり編」の「問いをつくる」を参照してください。

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