企画を小さく試す方法を説明するよ
さて、いよいよ実践です。と言っても、いきなり完成イメージを目指すのではなく、まずは企画の肝となる部分を小さく試してみます。
小さく試すための8つのステップ
企画を実現するためには、おおよそ8つのステップがあります。小さく試すと言っても、やるべきことはたくさんあります。
- 計画を立てる
- 協力者や仲間を増やす
- 必要なものを集める
- 告知・集客する
- 当日の流れ・役割を決める
- やってみる
- 振り返る
- 成果を発信する
ここではまず、大まかな流れを理解しておきましょう。詳しくは「デザインプロジェクトを体感しよう」で、具体的なプロジェクトを題材に説明します。
計画を立てる
なにを目的に、いつ、どこで、誰を対象に何をどうやってやるのかを決めます。計画書としてまとめておきましょう。
なにを目的に?
プロジェクトそのものの目的に加え、今回の試行の目的も明確にしておきましょう。例えば、どんな人が反応してくれるのか、どんなコンテンツが人気なのか・・・目的によってやることも異なりますよね。
いつ?
将来的には常設するとしても、まずはイベント的に1日だけ開催してみる、あるいは1週間やってみるのか。いつやるのか?例えば、3ヶ月後の土日とか。
どこで?
できれば完成イメージに近い場所がよいですが、都合よく見つかるとは限りません。できるだけお金を使いたくないなら無償で貸してくれる人を探しましょう。貸してもらうことでお金ではない関係性が生まれます。お金はすぐなくなってしまいますから、できるだけ無償で貸してくれる人を探しましょう。
誰を対象に?
企画の段階で、どんな人を対象にするのかは考えているはず。とはいえ、想定していなかった人たちが反応する可能性もあるので、メインターゲットは押さえつつも、それ以外の人たちも受け入れると意外なヒントが得られる可能性があります。
なにを・どうやって
企画を評価したときに、まず最初になにを実施するのか決めましたね。広げすぎず、ちょっと背伸びしたくらいの範囲で試してみましょう。
協力者や仲間を増やす
計画書をつくったら、協力してほしい人や仲間になってほしい人に計画を伝えましょう。すぐに承諾してくれる人もいれば、承諾を渋る人もいるでしょう。まずはなぜ承諾を渋るのか、その理由を聴きましょう。計画を変更しても問題なければ変更すればよいし、変更できないのであればその理由を説明して再度お願いすると考えを変えてくれるかもしれません。
最初は断られるとショックを受けてしまい、次に進めなくなるかもしれません。でも、ものごとはそんなに都合良くはいきません。最大限の努力はしつつも、「ダメもと」の気持ちで臨むことをおすすめします。
必要なものを集める
「協力者や仲間を増やす」と同じように、いろいろな人にお願いして必要なものを集めましょう。まったく接点のない人にお願いすることも出てきます。できれば信頼できる人に紹介してもらいましょう。もちろん、紹介していただく方にも計画書を持って丁寧に説明し、迷惑がかからないようにしてください。
紹介してもらえる人がいなくても、当たって砕けろの精神でお願いしてもいいと思います。特に学生の場合は、協力してもらえる可能性は高いでしょう。
また、イベントに必要な什器やチラシなど、制作するものもあります。予想以上にお金がかかる可能性も。予算を立て、必要に応じて会費を取る、クラウドファンディングでお金を集める(それはそれで大変なので1回目ではおすすめしませんが)、助成金を取る(こちらも1回目で取得するのはハードルが高いですね)など、工夫しましょう。
ひとまずは、できるだけお金をかけずに始めることを目標にすることをおすすめします。
告知・集客する
「素晴らしいイベントを計画したら、人が勝手に集まってくるだろう」と思ってしまいがちですが、よほどの発信力がない限り簡単に人は集まりません。チラシをつくって配布したり、地域の広報紙に掲載してもらったり、SNSで発信したり、直接声をかけたり・・・ありとあらゆる方法を使って宣伝します。
対象者が集まっている場所、例えば学校やカフェなどにチラシをおいてもらうなど、協力をお願いするといいでしょう。
当日の流れ・役割を決める
なにをやるのかにもよりますが、例えばイベントを開催するとしたら、当日の流れや役割はしっかり決めておきましょう。対面のイベントは、予想以上に人手がかかるもの。同じように、準備する時間も想定以上にかかります。
どんな役割が必要なのか、何時にどこに集まるのか、なにが必要なのかなど、当日の動きを想定して、詳細に計画を立ててください。全体の計画書とは別に、当日の動きをまとめたタイムテーブルや役割表などをつくりましょう。また、トラブルを想定して、対処方法も考えておいてください。
全体を仕切る人は何か起きるたびに判断する必要があります。ですので、ほかの役割を持たないほうがいいでしょう。
やってみる
いよいよ本番です。当日は想定していなかったトラブルがたくさん起きます。何度も繰り返すことでトラブルも減っていきます。だからこそ小さく試すことが必要なんです。
参加した人に楽しんでもらえるように、買った人たちに喜んでもらえるように、それを一番に考えて行動しましょう。もちろん、スタッフが気持ちよく動けるようにすることも大切です。
大変ではありますが、当日はいろいろな人から嬉しい反応が返ってきます。苦労よりも喜びのほうがずっと大きいはずです。こればかりは、実践した人にしか味わえません。酸いも甘いも味わい尽くしましょう。
振り返る
まず当日に軽く振り返りをしておきましょう。予想外に苦戦したこと、予想外にうまくいったことなど、立場や役割によって感じたことも異なるはずです。その場で感じたことを共有しておくことで、前向きに次に進むことができます。それに、そのときの気持ちは後になると忘れてしまうことも多いんです。
疲れをとって数日後に改めて、きちんと振り返りをしましょう。失敗も成功も次に活かすための財産です。文章にして書き残しておきましょう。
また、試行の評価も必要です。継続するのか否か、計画を変更するのか否かについて、曖昧にせず話し合いましょう。協力してくれたかたへの報告も忘れずに。
振り返りの方法は「3. 振り返る」を参考にしてください。
成果を発信する
試行が終わったら、なんらかのかたちで成果を報告しましょう。プロジェクトのWebサイトがあれば記事をつくるとよいですが、SNSでの発信だけでも十分です。
どんな取り組みをしているのか、どんな雰囲気だったのか、どんな成果があったのか・・・様子見だった人も記事を見て次回参加してくれるかもしれません。もしかしたら仲間も増えるかもしれませんね。